FURUNO 採用サイト

MENU

プロジェクトストーリー

Project

MEGURI2040無人運航船プロジェクト DFFAS+

海運の未来のために、自動運航の実現を目指す。

自律運航システムの実用化に向けた
技術向上やシステム間インターフェイス
の規格化・標準化を推進

日本の少子高齢化が進むなか、海運業界でも人手不足は大きな課題となっています。国内の物流の約4割を担う内航船※で働く船員の半数以上が50歳を超えており、業界の未来が危ぶまれるほどの事態となっているのです。
そうしたなか、無人運航船が課題解決策のひとつになると考え、日本財団が推進しているプロジェクトが「MEGURI2040」です。50社を超える海運関連の企業が集い、避航操船・船体制御などの自律航行システムに関する技術開発やシステム間インターフェイスの規格化・標準化などを進めています。2020年〜2022年のステージ1に引き続き、2022年〜2026年のステージ2にもフルノは参画しています。

※日本国内の貨物輸送に使用される船。

MEMBER

開発職

T・Y 2012年入社
自律航行システム開発部
開発1課

陸上支援システムの開発リーダーを担当。

陸上支援システムとは?

船上で行っているさまざまな業務を陸上から支援・代行し、船員の業務負荷を低減するシステム。ステージ1に引き続きフルノがこのシステムの開発を担当し、ステージ2で実証実験を行う4隻すべてへの運航支援を実施する。

開発職

A・T 2018年入社
自律航行システム開発部
開発1課

APU(Action Planning Unit:行動計画ユニット)のソフト開発リーダーを担当。

APUとは?

航路や周囲状況、他船衝突リスクをECDIS(電子海図情報表示システム)に表示するとともに、航路提案ユニットと協調し、航海士の判断のもとで行動計画を策定するユニット。オートパイロット機能と連携し、舵・船速の自動制御も行う。

開発職

N・K 2020年入社
自律航行システム開発部
開発1課

VRナビゲーションシステムの開発を担当
(グラフィック演算の開発リーダー)。

VRナビゲーションシステムとは?

船の周囲の情報を3Dグラフィックで表示し、自船が置かれた状況を瞬時に認識できるシステム。2022年のステージ1の実証実験では、陸上から船の周囲の状況を把握するツールとして活用された。

CHAPTER 01

画期的なプロジェクトである「MEGURI2040」。
そこに参画できることには大きな意義がある。

T・Y

「MEGURI2040」は、従来は競合だった企業同士も手を組み、業界の未来のために無人運航船を実現させようというプロジェクト。過去に例をみないプロジェクトだから、そこに自分が参画できるのは嬉しいし、フルノから20名ほどが参加して重要な役割を担っているのを誇らしく感じているよ。

A・T

そうですね。業界のために参加しているのはもちろんですが、フルノとしても得られるものが大きいと私は感じています。例えば、2026年の実証実験で自動運航する4隻のうち3隻に、私が開発を進めているAPUが搭載されます。その実証実験から多くのフィードバックを得られるはずなので、それは今後の技術開発に向けた大きな財産になるはずです。

N・K

最先端の技術を検証するプロジェクトに自分が開発した製品が使用されているのは、モノづくりに関わる者として純粋に嬉しいというのもありますよね。プロジェクトに参加されているなかで印象深い出来事がたくさんあると思いますが、例えばどんなことが挙げられますか?

T・Y

陸上から複数の船の運航支援ができるFOC(Fleet Operation Center:陸上支援センター)を開設し、公開したことだね。2022年のステージ2の開始と同時に企画を進めて2024年7月に公開したんだけど、ポジティブなフィードバックをたくさんもらえて嬉しかった。「未来感があってとても良いよ」と言ってくれた方もいたし。

陸上支援センターの様子

A・T

私はステージ2ではステージ1から担当が大きく変わって、APUを担当することになったので、ステージ1のAPUが開発された背景など、情報を把握するのが最初は大変で…。
でも、上司や同僚、協力会社さんなどの助けも借りて、無事に開発を進めることができました。

N・K

私はステージ1の最後に行った実証実験ですね。三重県の津から東京湾までの往復790kmの自動運航を行いましたが、みんなで緊張感を持って見守っていたのがすごく印象に残っています。その分、無事に運航が成功したときの感動と達成感は大きなものがありました。

実証実験を行った航路とコンテナ船「すざく」

CHAPTER 02

自動運航技術を支える機器の開発には困難が伴う。
だからこそ、開発に成功したときの喜びは大きい。

A・T

N・Kさんの言うとおり、自分が開発した機器が不具合もなく動作しているのを見ると、本当に嬉しいですよね。開発の困難が大きいほど、それを乗り越えたときに感動を得られるというか。
みなさんは、このプロジェクトではどんな苦労がありましたか?

T・Y

陸上支援システムはフルノだけでなく、さまざまな企業のシステムを組み合わせて構成されているので、他社との認識合わせや調整が大変だったね。陸上支援システムだけで4〜5社との調整が必要だったし、船に搭載した多くのシステムとも連携させないといけないからね。

N・K

私は「なにをつくるべきか」が、まったくわからない状態からのスタートだったのが大変でしたね。
VRナビゲーションシステムは世の中に存在していなかった機器なので、どんな機能や性能を備えるべきなのかを、ゼロから考えるのに苦労しました。当時は新卒入社したばかりでしたし…。

VRナビゲーションシステム

A・T

どんな風に乗り越えていったの?

N・K

ひとつは、尊敬している社内の先輩から、「開発者の都合で機能や性能を決めるのではなくて、機器の理想の姿を最初に考え、そこに向かって進んでいくのが正しい開発のあり方」というアドバイスをいただき、これは大きな指針になりましたね。そしてもうひとつは、船員の方々と必要な機能について意見交換し、仮説を立てて検証するということを繰り返しました。

T・Y

先輩の言葉はすごく良いアドバイスだね。本当にそのとおりで、誰かがあるべき姿を明確に描き、リーダーシップを発揮して開発を進めていくべきだと自分も強く実感してる。私も論理的で視覚的にもわかりやすい図を作成し、それを用いて粘り強く説明と議論を続けていくことで、開発リーダーとしてのリーダーシップを発揮できるように意識してるよ。

A・T

私が担当しているAPUは、ステージ2では冗長化にも取り組んでいます。船に同じAPUを2台搭載し、1台にトラブルがあったときにも問題なく航海できる仕組みを構築しているのですが、制御系のシステムとの調整が今、正念場を迎えている段階です。数ヶ月後に控えた陸上統合試験に向けて私もがんばります。

APU(行動計画ユニット)

CHAPTER 02

もっと楽に、楽しく働ける環境を実現し、
海運業界の課題解決に貢献していきたい。

N・K

このプロジェクトによって自動運航に関する技術が発展し、航行に必要なハードな仕事は機械に任せ、付加価値の高い仕事に船員の方が集中できる仕組みや楽しく働ける環境を構築し、海運業界全体を盛り上げていけたらと思っています。

A・T

法制度や安全面の課題もあり、完全に無人で船を運航できるようになるまでは長く険しい道のりがあると思いますが、「MEGURI2040」が海運業界に対するイメージの向上や、業界に携わっている人々の希望になったらいいなと私も思います。

T・Y

自動運航によって安全運航(海難事故ゼロ)を目指すのはもちろんですが、少ない人数でも操船できるようにしたり、熟練したスキルがない人でも操船を担えるようにしたり、海運業界が持続可能な産業であり続けることに貢献していきたいよね。

N・K

船員の方とお話ししていると、「自動運航技術が進化したら自分たちの仕事がなくなるのでは?」と思われている方がいらっしゃるのですが、そんなことはまったくありませんよね。海運業界の働きやすい環境を整え、楽しく働けるようにするのが自動運航技術です。

A・T

人と共存して安全運航を目指すというのが、自動運航技術のあるべき姿ですよね。平常運航時は船員の負担を軽減する一方で、切迫した状況に陥る可能性があるときは速やかに人間に権限を移譲できる環境を構築することが、私たちの使命だと思っています。

T・Y

海運業界の高齢化・人手不足が進んでいるなかで、そうした業界の課題を解決していくには、自動運航技術の進化は不可欠なはず。「MEGURI2040」によって業界全体が力を合わせ、業界の未来のためにみんなで自動運航技術を進化させていきたいね。

フルノのDXに関する取り組みはこちらからもご覧ください